「日本の弓術」 オイゲン・ヘリゲル著 書評

ある方のおすすめで岩波文庫「日本の弓術」 オイゲン・ヘリゲル著を読んだ。

ドイツ人オイゲン・ヘリゲルが弓道阿波研造師範より5年にも

およぶ弓道の指導を受けた実録記だ。

 

大正15年ヘリゲルは阿波師範より弓道を習いたいと申し出る。

ヨーロッパでは弓はスポーツととらえられているため一度は

断られる。

しかし日本の精神を真に理解したいためだと伝えたらようやく

了解してもらえた。

 

こうして稽古が始まるわけだが当然最初からうまくいくわけが

ない。

「弓術はスポーツではない。」

「心で引くこと、つまり筋肉をすっかり弛めて(ゆるめて)

力を抜いて引くことを学ばなければならない。」

師範はこう指導する。

 

「弓を引いて、矢が離れるまで待っていなさい。

 他のことはすべて成るがままにしておくのです」

 

これっていろいろなケースにあてまるのではないか。

よくミュージシャンが考えて考えて作った曲よりあまり深く

考えず作った曲のほうがヒットしたという話を聞く。

 

あれこれ考えず無心で行動したらうまくいったケース。

私も昔はウケをねらって冗談言ったときより何も考えず

ボソッと言った言葉のほうが周りの人に大笑いされた

ことがよくあった。

 

大切なのは無心。

難しいけれど。無心になるため座禅や瞑想やるのでしょうけど。

 

ヘリゲルは5年の修行の末弓道五段の免状を頂いた。

そしてドイツへ帰国の際、師範愛用の弓を贈られた。

素晴らしい。5年もコツコツ一つのこと続けられるなんて。

ヘリゲルさんは日本人以上に日本の精神を理解された方

かもしれない。

 

何事も飽きっぽい私は見習わなくてはいけませんね・・

とほほ。